◆音楽とノスタルジア


現代人が日常生活の中でノスタルジアを感じる場面というのは結構多くあると思うのですが、取り分け懐かしい思い出のメロディー(音楽)が流れてきた時に起こる感情は、手指の指紋のように個人個人で違います。ですが、同世代で育ってきた人たち同士なら、たくさんの部分で共通認識のようなものが存在するはずです。その時代に流行したヒット曲や流行したアニメやドラマの主題歌、お菓子やおもちゃの企業のコマーシャルソングなど、そのメロディーが象徴的な映像とともに思い出されるパターンが多いのではないでしょうか。

昭和ノスタルジー(KAZOO画)

 

私は昭和の30年代の生まれなので、日本は右肩上がりの景気のなか、三種の神器といって、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が飛ぶように普及していった時代。テレビの普及はそれまで遠くの出来事を活字で見ていたものを映像で見ることが出来、人気歌手の歌が映像でみれるようになったことで、とても身近に感じられるようになった。プロ野球やプロレスの放送に誰もが熱狂し、お茶の間から声援をおくった。

 

そして、待ちに待ったマンガや特撮ヒーローものの登場である。すみません男目線でしか語れないことをお許しください。鉄腕アトム、宇宙エース、スーパージェッター、宇宙少年ソラン、ああ!思い出すだけでノスタルジアを感じてしまいます。余談ですが、私は小学校の頃はマンガを描くのが好きで、手塚治虫とか石ノ森章太郎とかに憧れて漫画家を志していましたからアニメの主題歌を聴いてもムード・フォー・ノスタルジアですわ(笑)、といっても、この時代に育った人には、結構多いんじゃないですかね?アニメの主題歌でそう感じる人って。

 

それから、アイドルが持て囃された時代でもありましたが、1970年代初頭の、スター誕生はいつも欠かさず見てましたね、桜田淳子や山口百恵、森昌子たちの初々しい頃も肉眼(笑)で見ました。ただ私の場合この頃は、既にBEATLESを皮切りに、DEEP PURPLEやLED ZEPPELIN、YES や BAD COMPANY、等に染まりかけておりましたから、歌謡曲よりも洋楽なんですよね~。

 

そんなわけで、その時代の音楽を聴けば、同時に関連する絵が浮かび、また、そのころの家庭での出来事や学校での友達との思い出などが複雑に絡み合いながら記憶されているので、音楽を聴くと妙にノスタルジックになるのです。

ある場所の景色を見たときや、何かをしているときに急にデイドリームにおそわれノスタルジックになることもあるだろうと思うのですが、少なくとも私の場合は何よりも音楽を聴いてそのようなノスタルジアな気分になることが一番多いかなと思っているのです。

 

私の持論ですが、人がノスタルジアを感じることは、凄く良いことであり、たまに必要な事ではないかと考えています。ノスタルジアに浸ることは何か心理学では危険なことのようにも書かれているのを見かけますが、それは昔の思い出から抜け出ることが出来なくなって前に進めなくなる危険性を言っているのであって、ライブハウスなどで懐かしい曲に浸ったり、カラオケで歌って懐かしんだりというのとは、まったく別の次元の問題です。

 

とにかくノスタルジアを感じることは良いことなのだ!これでいいのだ!

 

昔懐かしい曲にノスタルジアを感じながら、友達とお酒を飲んで騒いで、明日に向けての活力にしてほしいという思いで、私はMonosというバンドをつくりましたし、一人でも多くの方にノスタルジアを感じていただき、明日への活力が生まれることを願いながら、心を込めて歌いたいと思います。

2021年12月08日